山形県鶴岡市は日本海側の庄内地方南部に位置する人口約12万5000人の街だ。旧鶴岡市は1924年に市制となった古い街だが、2005年の合併を経て現在の姿になっている。
この街は江戸時代、庄内藩大名酒井氏の城下町として栄えた。沿岸の加茂港は北前船の寄港地で多くの物資が取り扱われ、京都などから文物や文化が流入。東北地方でも異色の街として発展を遂げた。農業も盛んで、「だだ茶豆」は滋味深い味わいで今や全国ブランドとなり、庄内米や庄内柿、民田茄子などの名産品にも恵まれている。
また「出羽三山」と呼ばれる月山、羽黒山、湯殿山には修験道などの山岳信仰があり、今でも修験者が登ることで有名だ。新潟県との県境にある鼠ヶ関(ねずがせき)も、勿来関(なこそせき)、白河関を合わせた「東北三関」として名をはせている。
現在、この街を悩ませているのが、人口の減少と住民の高齢化である。原因の1つが交通の便の脆弱さだ。首都圏から東北地方へのアクセスは東北新幹線のほか、在来線を利用した秋田新幹線、山形新幹線が整備されている。ただ山形新幹線は奥羽本線を利用したため終点が新庄駅で、鶴岡駅には至らない。鶴岡駅は日本海側の羽越本線を通っており、首都圏からは新潟方面を経由する必要がある。交通アクセスでは圧倒的に不便な立地なのだ。海上交通で栄えた街は、陸路で恵まれていない。
人口の減少と高齢化は空き家の増加を招く。市では比較的早くから空き家、空き地の対策を行ってきた。その一つがNPO(特定非営利活動法人)「つるおかランド・バンク」での活動だ。同NPOが実施する「ランドバンキング」とは、ファンドなどの仕組みを使って空き家や空き地を取得し、周辺の土地を含めて一体で活用・再生する仕組み。都市内で空白地が多発する“スポンジ化”を食い止める手法として米国で始まった。鶴岡市は静岡県掛川市とともに、早くからこの手法を導入している。
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