2018年の不動産業界、とりわけ賃貸ビル市況は、低空室率と賃料上昇という2つの追い風に恵まれた。好調な企業業績を背景に、人員増強に伴うオフィスの増床ニーズや好立地ビル需要が増したこと、BCP(事業継続計画)をにらみ災害対応が充実したビルへの移転需要が膨らんだことなどが主な要因だ。
移転後の空きスペースにも後続テナントがすぐに決まるなど、需給の逼迫は続いている。賃貸ビルの主な供給源である大手デベロッパーは、「空室率は低下傾向、賃料も上方改定が続いている」と口をそろえる。
だが、追い風は長続きせず、不動産市況は踊り場を迎えるという観測が浮上している。不動産サービス大手のCBREによれば、19年にも都心部を中心とする築浅オフィスビルの空室率は下げ止まり、賃料上昇基調にも天井感が見え隠れするという。「19年半ばまでにピークを迎え、その後空室率は上昇に転じる」と大久保寛リサーチエグゼクティブディレクターは言う。

そもそも賃貸ビル業界では「2018年問題」がささやかれていた。18年以降に丸の内や渋谷、虎ノ門といった都心部の市街地再開発で超高層ビルが相次ぎ竣工を迎え、膨大な床面積が供給されて需給が緩む、という観測があったからだ。
結果的に懸念されたような事態にはならなかったが、問題が消えたというより、先送りされたというのが実態だろう。企業業績が予想以上に底堅かったことに加えて、「まとまったスペースを丸ごと借りるシェアオフィスの普及も、空室率を押し下げた」(大久保氏)。オフィス供給がピークを迎える20年ごろが正念場となりそうだ。
この記事は有料会員限定です
残り 540文字
