コーポレート・ガバナンス(企業統治)に詳しい牛島信弁護士は、検察介入の必要性を話す。
うしじま・しん●1975年東大法学部卒。東京地検検事を79年退官。大手法律事務所を経て85年独立。(撮影:梅谷秀司)
──ゴーン氏は電撃逮捕されるほどの罪を犯していたのでしょうか。
報道されていることが事実だとすれば、ゴーン氏には確定した役員報酬があり、有価証券報告書に記載する義務があった。取締役が開示義務を果たすことは重要であり、ゴーン氏がしたことは実質的にも重い。
──同じく逮捕されたケリー氏は、取り調べで「金融庁に『記載しなくてもよい』と確認を取った」と主張しているそうです。
それで済むなら特捜部はゴーン氏を逮捕していない。退任後に役員報酬をゴーン氏に支払うという約束が確定していて、しかも重要な犯罪だったように見える。
──役員報酬を一部記載しなくても投資家の判断に大きな影響は与えないという見方もあります。
情報開示においてその会社で重要な役割を果たしている経営トップがウソをついている、開示義務違反をしているとわかったら、報酬の額だけの問題ではなくなる。その会社の株の売買についての重要な情報だ。
東京地検特捜部からすると、国際ビジネスという観点で、田中角栄以上の史上最大の大物を逮捕したという意識に違いない。ゴーン氏がCEO(最高経営責任者)を務める仏ルノーはグローバル企業。ゴーン氏はルノー、日産自動車、三菱自動車工業の3社連合の扇の要だ。ルノーは元国営企業で、日本でいえばNTTのような存在。その経営トップであり、日産を救済した伝説の経営者であり、今が絶頂の実力経営者であるゴーン氏を逮捕するのだから、最高検察庁の検事総長以下、検討に検討を重ねた逮捕だったと見て取れる。
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