日本銀行は今年7月末に、YCC(イールドカーブ・コントロール)の下で目標としている、10年物国債金利の変動幅を拡大させるなどの政策変更を発表した。その最大の狙いは、長期金利の緩やかな上昇を促し、金融機関の収益環境を改善させることにあった、と考えられる。
2016年9月のYCC導入以降、日銀は長期国債の買い入れ増加ペースを着実に縮小させてきた。この措置は、買い入れ可能な額の限界に達してしまう、あるいは国債市場の流動性が過度に低下し、いずれは大きな混乱につながるといった事態を避けることを意図したものだ。正式には量的・質的金融緩和の縮小を表明していないので、これは「ステルステーパリング(こっそり進められる買い入れペースの減額)」とも呼ばれる。「事実上の正常化策の第1弾」と位置づけられる。
これに対して、今年7月の措置は、長期金利のゼロ%という誘導目標自体は変えておらず、「ステルス利上げ」とも表現されるような、「事実上の正常化策の第2弾」と考えることができる。
その後、実際の長期金利はそれほど上昇していないが、日銀の狙いは、まず今回の措置を通じてYCCの枠組みを柔軟化し、長期金利の上昇余地を確保したうえで、時間をかけて緩やかに長期金利の上昇を促していくことではないか。
その際の手段の一つとして注目されるのが、日銀が保有する長期国債の平均残存期間を短期化させていくことだ。
主要中央銀行の実施している国債買い入れ策では、一般に、買い入れ額や保有残高の変化といった量的なものに注目が集まりやすい。しかし、買い入れ資産の構成変化という質的な面からの評価も非常に重要だ。中央銀行の保有する国債の平均残存期間が短期化すれば、それはイールドカーブをスティープ化(長短金利差を拡大)させ、金融緩和効果を縮小させる正常化策の一種となる。
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