7月末に日本銀行は、10年国債金利のゼロ%という誘導目標は変えず、変動レンジを従来のマイナス0.1~プラス0.1%程度から2倍に拡大させると決定した。このとき、国債市場の機能度を高めることで現行の金融緩和政策の持続性を強めるのが目的だと説明された。しかし、それから2カ月近くが経って、長期金利は再び上下数ベーシスポイント(100分の1%単位)の非常に狭いレンジでの推移となっており、国債市場の機能度が高まっているとはとてもいえない状況である。
国債金利の「変動幅」が小さくなってきた理由は、基本的には、①国債需給が引き締まっている、②海外金利など外部環境の変化も乏しい、という二つである。
しかし、①の需給要因にしても、ただ日銀の買い入れ額が大きいというだけでは説明できなくなってきている。というのも、日銀の長期国債の買い入れ額はすでに償還を差し引いて年間40兆円弱と、一時期の80兆円から半減しているのである。買い入れが減っても需給状況が変わらないのは、ストック効果が強まっているからだと考えられる。
日銀の国債保有額が発行総額に占める割合が大きくなっていけば、逆に投資家の国債保有額が減少してくる。しかし、投資家の側にはある程度以上は国債を減らせない事情もあり、日銀が同じペースで国債を買い続けていても、金利低下圧力は強まり、流動性も低下していく。これがストック効果である。
銀行であれば、日銀にマイナス金利で余剰資金を預けたくはなく、担保として最低限の国債も必要だ。また、生命保険会社などは、負債が長期固定であり、これにマッチングさせるために長期国債をある程度保有し続ける必要がある。さらに、この1年ほどの間に、国債投資に代替する運用として拡大してきた為替ヘッジつきの外債投資が、ドル調達金利の上昇や海外長期金利の低下によって難しくなってきたという事情も加わっている。
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