入試において男女で異なる採点基準を採用していた東京医科大学。女性学やジェンダー研究の第一人者である上野千鶴子・東京大学名誉教授には、どう映ったのか。
──東京医大が2次試験で女子を機械的に一律減点していたと初めて聞いたとき、どう思いましたか。
極めてプリミティブ(原始的)な差別であきれ果てた。前年の女子合格者が全体の4割を超えて、慌てふためいたのだろう。
今回の不正は、文部科学省元局長への贈収賄事件を捜査する過程で、派生的にバレた。東京地検特捜部の捜査がなければ、入試不正は発覚せず、文科省の全国一斉調査も行われなかった可能性が高かったといえる。
──東京医大事件を受けて、文科省が9月に全国医学部の調査結果を発表しました。
男子と女子で知的能力に差がないことは科学的に証明されている。だから同じ条件で受験すれば、合格率(受験生に対する合格者の比率の男女比)は1対1になる。ところが、女子は男子よりも浪人を避ける傾向があるので、安パイ(安全パイ。合格する可能性が高い大学)を受験する。女子は余裕のある受験をしているのだから、女子の合格率のほうが男子よりも高くなる。つまり女子の合格率を1としたら、男子の合格率は1を下回ると予想される。
──文科省の9月の調査では、多くの私立医大で男子の合格率が1を上回りました。
地方の国立大では男子が1を下回っていて、公正に選抜しているのだろうと推論できる。一方で私立医大では1を上回る大学が多く、操作があると疑われても仕方がない状況といえる。文科省のコメントによれば、他学部・他学科では女子のほうの合格率が高く、1を下回っているのは医学部に限っての傾向だという。医学部の関係者がどう言い逃れしようが、これは「統計的に証明された差別」といえる。
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