中央省庁で発覚した障害者雇用の水増し問題。国や地方自治体、民間企業は一定の割合以上の障害者を雇うよう義務づけられているが、国の機関の約8割はこれを守っていなかった。長く障害者の就労支援に取り組んできた竹中ナミ氏に聞いた。
──国の機関の8割、そして地方自治体でも水増しが行われていました。不適切に算入されていた対象外の職員は3000人以上にもなります。
この問題が発覚したのは、まったく不思議ではない。従業員数45.5人以上の企業では2.2%が法定雇用率だが、どの企業でも、特に人事担当者には水増しの誘惑がある。国も同じだったのでは。人間をポイントに換算した制度の行き着く先だと思っている。
──率先して雇用すべき行政でこれほど多くの不正がありました。
1976年に法定雇用率が導入され「チャレンジド」(障害者)の雇用促進に一定の役割を果たしたと思うが、制度の根幹が改革されず、欠陥制度になってしまった。「戦力ではなく員数合わせ」という発想は、人間の尊厳を無視したものだ。厚生労働省は「雇用率を達成すべき」という一念で、柔軟な雇用制度をどう構築するかという思考と姿勢を怠った。
──障害者の採用では、現場とのミスマッチが問題となります。雇用率を上げたくても上げられないという現実が指摘されます。
それはそうだろう。矛盾に満ちた制度だからだ。チャレンジドは障害ゆえに高等教育を受けられないと皆が考えてしまっているが、それは固定観念だ。企業は大学卒を求めるのに、チャレンジドが高等教育を受ける機会は限られている。さらに社会性を養う機会も少ない。雇用だけに限らず、チャレンジドとともに生きるにはどうしたらいいのかという国家デザインが抜け落ちていることが、問題の根本だ。
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