愛知県長久手(ながくて)市と聞いて、場所を正確に語れる人は少ないのではないだろうか。歴史好きの人ならば、1584(天正12)年に羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)と徳川家康および織田信長の二男、織田信雄の連合軍とが、半年以上にわたって対峙した古戦場として思い浮かべるくらいではないか。
だが今、この古戦場は全国で最も人口増加率の高い街として、自治体関係者間で有名になっている。
長久手市は名古屋市東側の丘陵地帯に広がる、面積21平方キロメートル、人口約5万9800人の街だ。市域は東西に長く、西は名古屋市と、東は自動車の街、豊田市と接する。
この古戦場の街が脚光を浴びたきっかけは、2005年に開催された愛知万国博覧会「愛・地球博」だ。会場と市営地下鉄東山線の藤が丘駅を結ぶ愛称「リニモ」という磁気浮上式鉄道が開通。これにより、名古屋駅から街の中心にある長久手古戦場駅まで約40分、また同駅から新豊田駅まで約35分で到着するようになった。道路でも、東名高速の名古屋インターチェンジに近い日進ジャンクションから名古屋瀬戸道路に入れば、街の中心部につながる。長久手は名古屋と豊田、どちらへもアクセスが良好なベッドタウンとして発展する立地を確保できたのである。
長久手は12年1月に「市」に昇格。万博開催時の05年に4万6493人だった人口はわずか10年後の15年に5万7598人と、24%もの大幅増を記録した。
人口増の担い手は、名古屋や豊田に通勤する働き世代だ。市の総人口に占める生産年齢人口(15~64歳の人口)の割合は66.8%と全国平均を大幅に上回る。また若年人口(14歳以下人口)の割合が17.7%と、老年人口(65歳以上の人口)の割合15.5%を上回るという、国内でも非常に希有な「若い街」となっている。実際に市内では生徒数が1000人を超える小学校が出現して話題になっている。
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