空港近くの宿はどの国もいま一つの印象が強い。
金額がひどく高かったり、建物が無味乾燥だったり……。それでもほかに選択肢がなく、泊まらざるをえないことがままある。
もちろんすばらしい宿に当たることもある。筆頭がソウルの仁川国際空港近くにあり、韓国の伝統的な家屋・韓屋(ハノク)を改装した「オガムルゲストハウス」だ。
ここを訪れたのは2014年。アフリカに行くのに、黄熱の予防接種証明書(イエローカード)が必要となったためだ。日本では予防接種に1万円以上かかる。仁川空港内なら3000円以下で受けられると聞き、LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションで羽田から仁川まで往復したのだ。
空港から10分で韓屋へ
空港に車で迎えに来たのはアルムさんという若い女性。英国留学経験があり英語に堪能だ。
宿は空港と同じ永宗島(ヨンジョンド)にあり、車でわずか10分の距離だ。幅広く快適な直線道路を飛ばしていた車が急に減速した。
車1台がようやく通れる程度の曲がりくねった道に入り、左右に水田を見ながら進んでいく。
現代的な住宅が点在する中、1890年に建てられた瓦屋根の韓屋のゲストハウスが前方に現れた。風水思想にのっとり、背後の北側は小高い山に囲まれている。
時折山の先から聞こえる飛行機の轟音を除けば、虫の音だけが鳴り響き、街の喧噪とは無縁になる。
儒教の影響下で建てられた韓屋は、手前の男性が住む空間(サランチェ)、奥の女性が住む空間(アンチェ)に分離されていた。現在、サランチェの2部屋をゲストに開放している。韓国式床暖房があるオンドル部屋で、19世紀の韓国の田舎暮らしを体験できる。
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