前回の本連載(7月14日号)では、米中貿易戦争で日本が漁夫の利を得るチャンスが広がっているという話をした。
米トランプ政権が中国に科した制裁は、当初、見栄え重視で実効性を度外視したショーと見られていた。だが、ここに中国・通信機器大手の中興通訊(ZTE)の問題が重なり、中国は窮地に立たされたのである。
米国が優位な基幹技術の蛇口を一つ閉めただけで、次世代の通信技術を担う中国の国有大企業がたちまち干上がってしまう現実がさらされてしまったのだから、中国の焦りはひとしおだ。
米国の制裁に対し、中国も相応の対抗措置を打ち出しているが、その裏で早期の妥結を望んでいることは間違いない。
米国の強気な態度に、日本国内では早くも「レーガン時代にソ連を崩壊に導いたシナリオ」を声高に叫ぶ識者が現れている。ただ、それは気が早すぎるといわざるをえない。
あらためていうまでもないことだが、冷戦期の米ソ関係と、グローバル経済の浸透した現在の米中関係を単純に比較できはしないからだ。
対中警戒論が定着 中国は妥協を迫られる
そもそもそれ以前の問題として、米国は世界経済の巨大な成長エンジンとして中国を利用してきたのであって、中国は米国の後押しの下で経済発展が続けられてきたことをよく理解している。
そのため中国は、1980年代から問題化した日米貿易摩擦を徹底的に研究、米国との貿易摩擦の解消に早くから力を入れてきた。
当初、中国が米国に対して強気な態度を取ったのは、その対策に自信があったのと同時に、米国の研究者も指摘しているように、中国の対米黒字のおよそ4割が米国企業によるものという現実があったためだ。
誤算だったのは、長年、対中ビジネスの現場で積み上げられた中国に対する不満が、一つの対中警戒論となって米国社会に定着したことだ。そしてそれが、政治的にも大きな意味を持つようになってきたことである。
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