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政治・経済・投資 #検証 米中貿易戦争[後編]

米中対立の緩和には中国経済の開放が不可欠 問われる成熟度

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  • 伊藤 信悟 国際経済研究所主席研究員
(CON-PIXTA)

「貿易戦争のエスカレートは避けたい」──。これが中国の本音だろう。最大の貿易相手国である米国との対立激化は中国経済の安定維持にとって大きなリスクとなる。

それゆえ、米国からの市場開放要求を「一定程度は受け入れる」という考えが中国政府に垣間見える。だが、米国の圧力があったからという形にはしたくない。そこで、自国の利益になる分野を選び、「自発的・自主的な開放」であることを強調し、金融市場の開放や、自動車・同部品、消費財の関税引き下げなどを図ってきた。また、強硬な反米報道は中国内で抑えられているもようだ。

とはいえ、中国から見てあまりにも不合理な要求は引き続き拒否せざるをえない。WTO(世界貿易機関)への提訴に加え、相応の報復措置を中国も打ち出していくだろう。「やりたくはないが、やられたら、やり返す」。これが中国側のこれまでの原則だ。

もう一つ原則がある。それは、世界の貿易秩序の守護者としてのイメージ形成だ。今年6月18日に中国は「中国と世界貿易機関」白書を発表した。中国はWTO加盟時に約束したこと以上の対外開放を行っており、多国間貿易体制を絶えず支持してきた、とアピールしている。

他方で、名指しは避けつつも、一方的な制裁関税の発動や安全保障を理由とした貿易規制の濫発は貿易秩序の破壊につながるとして、暗に米国を批判している。また、中国は他国首脳との会談や国際会議の際に保護主義反対のメッセージを絶えず発している。

だが、「やられたら、やり返す」にはジレンマがある。米国が対中制裁の発動をやめないかぎり、中国も対抗せざるをえない。トランプ米大統領は、中国が対抗すれば次の手を打つと公言している。これでは貿易摩擦のエスカレートは止まらない。

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