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日本の経営者が悟った米国流ガバナンスの限界 中谷 巌 その4(全4回)

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なかたに・いわお●米ハーバード大学Ph.D.。一橋大学教授、ソニー社外取締役、多摩大学学長等を経る。現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長、「不識塾」塾長。(撮影:尾形文繁)

ここ30年ほど、日本企業は米国流経営の影響を受け続けてきた。しかし、国の成り立ちや伝統、人々の価値観が異なる日本にそのまま持ち込んでもうまくいかないことは言うまでもない。

「米国流の経営に一刻も早く近づくことが先進企業の証明」であるかのように振る舞う経営者もいた。しかし幸いなことに、日本の経営者は、表面的には米国流の経営になびいているように見えても、本心では懐疑的な人が多かったのではないだろうか。

それを強く感じるのは、米国流コーポレートガバナンスへの対応だ。2000年代前半、執行と監視を分離するため、社外取締役を取締役の過半とする「委員会設置会社」の選択導入が法的に認められたが、この制度を採用した企業は非常に少なかった。現に、社外取締役を増やしたからといって経営内容がよくなることは何ら実証されていない。

私が1999年から05年まで社外取締役を務めたソニーは、その委員会設置会社を早くから採用していた一社だ。同じ時期の社外取締役には、宮内義彦さん、小林陽太郎さん、カルロス・ゴーンさん、とそうそうたる面々が並んでいた。もし米国流ガバナンスが経営のパフォーマンスをよくするのならば、一流の経営者をそろえたソニーは爆発的に成長していないといけない。しかし実際そうはならなかったのは見てのとおりだ。不思議なことではない。実際そこに座っていると、ものの10分で、200億円級の投資案件の審議が終わる。たまに加わる外部の人間が簡単に評価できるものではない。「これでいいですか?」と聞かれたら、はいと答えざるをえない。

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