コーポレートガバナンス(企業統治)の強化が叫ばれて久しい。ほとんどの上場企業には社外取締役がいて、ガバナンス体制は整備されてきたように見える。だが課題はないのか。ガバナンスの実証研究が専門の円谷昭一・一橋大学准教授に聞いた。
──日本企業で社外取締役は機能していますか。
社外取締役制度の導入は、取締役会に社外の視点を入れバランスのある議論をすることが最終目的だ。だが、どんな議論がなされているかについての情報開示が足りない。投資家が知りたい情報と、企業の情報開示とでギャップが大きいのはこの点だ。多くの米国企業では、取締役全員についてどのような経験や専門性があるかをアイコンを用いるなどして具体的にわかりやすく開示している。
日本企業で6月の株主総会の招集通知書において、全取締役に関しそうした開示をしているのはイビデンや武蔵精密工業くらい。日本取引所グループや荏原なども率先して開示しているが、記述は社外取締役にとどまり、社内取締役については記述がない。多くのIR(投資家向け広報)担当者は開示に積極的だが、取締役会が二の足を踏んでいる。
──社外取締役の任期について課題はありますか。
日経225銘柄など大会社は平均3〜4年。経済産業省の「コーポレートガバナンスに関するアンケート調査」では、7割強の企業が「在任期間は現状と同程度が望ましい」と回答している。だが、任期1、2年という会社もいまだにある。1、2年だと会社のことをやっと理解できた段階。短い任期で実力を発揮できるのかどうか疑問だ。一方で、社内よりも社外のほうが取締役在任期間が長いというのもいびつだ。任期の長さについて、どちらか一方だけを論ずるのは全体を見ない議論になる。
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