第3回(6月25日配信)のPDCAサイクルのポイントは「精度」と「速さ」では、「先を読んで次々に改善アクションを起こす会社へと変身するためのノウハウ」をご紹介します。
PDCAとは、「Plan、Do、Check、Action」の頭文字を繋げた言葉。これを順番に行うことをPDCAサイクルと呼びます。
筆者が部下に繰り返し言っているのは、「経営改善のアクションを起こす」ということです。決算や支払いをするだけの経理財務では、社内に組織を持つ意味がありません。アクションを起こすためには経営のPDCAサイクルを精度高く速く回す必要があります。「着地見通し」から戦略立案し、「アクション」を起こし、早い決算で「実績」を把握、前回見通しとの乖離を把握して、次の「改善策」によって見通しの精度を上げていきます。
「事業は仮説と検証の繰り返し」です。筆者が入社する以前のグリーは「決算実績」も翌月末にしかわからないスピードの遅い会社、「見通し」は当月売り上げのみの先を読まない会社でした。今は「決算早期化」で7営業日目には連結の財務会計・管理会計が同時に終了。それを踏まえて3カ月見通し検討会を毎月中旬に行えるまでになりました。PDCAの期間も中長期に広がり、ポートフォリオでリソース配分を戦略的に考える会社に変身しました。「着眼大局着手小局」を実践しています。
第4回(6月28日配信)の経理財務の武器は精緻な管理会計システムだ、では、管理会計システムの重要性について説明します。
グリーには、独自で開発した「Management Dashboard~経営の羅針盤~」(略称「MD」)があります。経理財務部門内のシステム開発チームが3カ月かけて開発しました。
P/Lを組織や科目でどんどんドリルダウンして見ることが可能なこのシステムによって、本部別・部別(あるいは子会社別)・ゲーム別に、どんどん細目を見ることができます。予算・見通し・実績の比較分析にも威力を発揮するこのシステムにより、管理レベルが飛躍的に向上しました。
一般的に経理社員は決算分析や商品別収支など管理会計資料作成のためのExcel作業に膨大な時間を費やしていますが、当社の経理はMDのおかげで少数精鋭で高い管理レベルの仕事をすることができています。
経理財務部門だけでなく事業部門の管理レベルも向上
第5回(7月2日配信)の事業部門の管理レベルが会社の強さを決めるでは経理財務部門以外の部門における管理レベル引き上げの手法をご紹介します。
管理会計システムMDのユニークな点は、経理以外の事業部門にも閲覧権限を付与した点です。その目的は「PDCAの高速化」です。
「財務会計が終わってから管理会計の資料を作り事業部門につなぐのに多大な労力と時間をかけている会社が多い」という話をよく聞きます。グリーの場合には各ゲーム担当者が翌月5営業日目に「自分のP/L」を見て、配賦計算等が正しいことを確認し、決算を完了します。
要は事業部門が経理と同タイミングで決算実績を知り、すぐに分析ツールを使いこなしているのです。MDによる効率化省人化の効果は経理のみならず、事業部門にも及ぶと同時に、数字を活用して事業を行う「経営者の卵の育成」に大いに役立っています。
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