グリーは、どうやって窮地を抜け出したのか 第1回 管理部門で使える「実践知識」を伝授

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第6回(7月5日配信)のグリーは資金重視の経営で財務を改善させたでは財務体質改善の軌跡についてご紹介します。筆者がパナソニックの財務部長の時にネット資金はマイナス1兆円まで悪化し、地獄の苦しみを味わいました。

全社レベルの資金創出活動を行い、2年あまりで実質無借金になりましたが、その時に得た教訓は3つあります。

①常に資金の苦しみを忘れない「資金重視の経営」

②真剣に回収可能性を検討する「適正な投資判断」

③攻め・守りのための「資金調達への備え」

です。

入社当時のグリーもまさに積極投資の結果、資金が大きく減少し、銀行借り入れもありました。投資抑制・運転資金圧縮・株式売却等により、資金は増加。今は現預金が総資産の3分の2を占め、自己資本比率も9割と盤石な財務体質になりました。今はこの資金を使って攻めに転じていますが、3つの教訓は忘れていません。ボラティリティの高い業界だけにつねに資金調達の備えも行っています。

決算説明会への参加で緊張感を醸成

第7回(7月9日配信)の経営に「緊張感」をもたらす資本市場との対話では、「資本市場との対話を通じた企業価値向上」と「人材育成」についてご紹介します。入社当時グリーは社長と管理担当役員の2人だけで決算説明会を行っていましたが、すぐに事業責任者にも同席してもらい、質疑応答に参加してもらうようにしました。目的は、経営に対する緊張感の醸成です。資本市場に対峙して、説明責任を果たしたり、コミットしたりすることで緊張感が醸成できたと思います。

資本市場の声を受け、経営に活かす「双方向コミュニケーション」により、内部の論理から脱却し、「複眼思考」で事業を見ることができる会社に変わりました。

パナソニックでは「事業は人なり」で、人材育成の重要さを叩き込まれました。「教育は最も長い時間を要するが、確実な投資である」とも言われます。私もこの4年余り「自分の仕事の半分は人材育成」と思って経営管理本部メンバーの育成に取り組み、「経営改善のアクションを起こす」ことのできる人材が育ってきました。

これらの内容はグリーで実践したことのご紹介であり、1つの事例にすぎません。そのため、必ずしも読者のお勤めの会社に当てはまるわけではないでしょうが、何らかの形でお役に立てれば幸いです。

水野 省三 グリー 執行役員 経営管理本部長

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みずの しょうぞう / Shozo Mizuno

パナソニックの経理として、国内・海外、製造・流通の現場で20年、本社部門の経理・財務・監査の3部門で15年間勤務。最後は海外部門CFOや、財務・IR部門責任者を歴任。その後、グリーに入社。

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