米中間の経済摩擦が激しくなっている。米国は中国を念頭に鉄鋼やアルミ製品に高関税を課すと発表、中国に対し貿易赤字の解消を求めている。これに対し、中国は米国にハイテク製品の対中輸出の制限緩和などを求めている。中国や東アジアの通商関係に詳しい津上俊哉氏に聞いた。
──5月中旬の米中協議の後、両国は共同声明を発表し、関係改善の姿勢を見せ始めました。
米国が中国に求めていた貿易赤字削減も農産物やエネルギーの輸入拡大が抽象的にうたわれただけで数値目標は入らず、米国も「関税引き上げは先送りする」としか言わない。これでは「妥結」とは呼べない。6月の米朝首脳会談の終了後には再燃しそうだ。
一方、中国にとって切実な課題だった大手スマートフォンメーカー・中興通訊(ZTE)への制裁だけは解除されることになった。中国が大幅に歩み寄ったとみられる。
一連の協議から、習近平政権は米国と事を構えるのを避けたがっていることがわかる。中国国内には「弱腰外交」批判が伏在しているが、習氏への権力集中によって、今は表立って批判できない。
──今年4月、米国当局はZTEが米国から違法な輸出をしていたとして米国企業にZTEとの取引を禁止しました。これにより部品が購入できないZTEは経営危機に陥りました。中国はこうした事態は想定外だったのですか。
中国には大きなショックだった。急所を突かれて、米国の力を再認識させられたと思う。
ただ、この制裁手段は副作用が強すぎる。ZTEが制裁されるのは自業自得だが、部品を納入していた日米韓台の企業まで取引途絶で「とばっちり」を受ける。これは株式市場が最も嫌う予測不能なリスクだ。こうした制裁が一般化すると、IT業種の株価にはリスクプレミアムが乗せられるようになるのではないか。
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