「変わりたいが、なかなか変われない」という点で、レノボ・グループは多くの日本の大手企業と似た課題を持つのではないか。そんな問題意識を持って臨んだ楊元慶CEOとの対談で、筆者はレノボの経営の実際と変革に向けた課題を示唆するポイントが三つあると理解した。
1点目は、確かにレノボは変革の難しさに直面しているが、その下地作りでは日本企業のはるか先を走っていることだ。下地とは「グローバルな多様性の推進」である。たとえば経営陣15人のうち中華系は8人。ほぼ半数がジャンフランコ・ランチCOO(最高執行責任者)をはじめ欧米系人材だ。社員も多様。対談は年次キックオフミーティング会場となった東京都内のホテルで行われたが、集まった社員の人種の多様さに筆者は圧倒された。人種・国籍の多様性という点ではレノボは日本企業ばかりか、華為(ファーウェイ)技術のような中国の成長企業の多くにも勝る。
シュンペーターが新結合という言葉で指摘したように、イノベーションは「知と知の新しい組み合わせ」で起きる。そして知は人が持つから、多様な人を組み合わせるダイバーシティ経営がイノベーションに欠かせない。役員が多様な企業ほど経営パフォーマンスが高い傾向は、統計分析を使った研究で数多く報告されている。
2点目はレノボがグローバル展開するうえで、徹底した現地化を取ってきたことだ。グローバル企業の経営の難しさを説明する枠組みに「IRフレームワーク」がある。Iとは統合戦略(Integration)。世界で統一された製品・サービスを提供し、最適なバリューチェーンで効率性を追求する戦略だ。典型は米アップル。製品ブランドは世界共通、経営オペレーションも国を問わず一貫している。
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