ふと思い立って、久しぶりに夜の新宿歌舞伎町を歩いてみた。意外なくらい、安全に感じられた。家族連れの外国人観光客が、ネオン街の写真を撮っていたりする。もちろん風俗店などは健在だが、呼び込みもいないし、「その筋の人たち」も見掛けない。かつて大沢在昌の『新宿鮫』シリーズを愛読した者としては、物足りないくらいの光景であった。
そのまま新大久保駅方面に通り抜けてみた。すると、昔はラブホテル街だった地域が活気づいている。「新大久保はコリアンタウン」と聞いて久しいが、むしろ多国籍な街になっている。ベトナム系やネパール系の店も進出し、ハラルフードを出す「イスラム横丁」までできている。
さまざまな人種や民族が行き交い、いろんな国の言葉が聞こえてくる空間には不思議な開放感がある。こんなマルチエスニックな街ができていたとは、東京も捨てたものじゃないな、となぜか誇らしい気分になった。
最近ではようやく、ダイバーシティなどという建前を口にするようになったが、この国の本音は「国民国家」である。だからグローバル化もゆっくりとやってくる。おかげで社会が安定していいじゃないか、と高をくくっている。
統計以上の外国人増
ところが現実はどんどん変わりつつある。この国で暮らす外国人はおそらく統計以上に多い。300万人は超えているのではないか。そして今年は、たぶん年間3000万人を超えるであろう観光客もやってくる。
この記事は有料会員限定です
残り 484文字
