「何カ国に行ったことがありますか」。よくされる質問だ。旅の経験値を測る指標として、これほどわかりやすいものはない。
ある国に数年間暮らしていた人と、数日間旅行で行った人との情報や経験値を同じ「1カ国」にカウントしてしまうのは乱暴だが、わずか1日の入国でも、未訪の人に比べればはるかに多くの知見が得られるのも事実だ。そのため、食わず嫌いはせずに、未訪の国があれば行くようにしてきた。
だが、訪問国が増えれば増えるほど、新規の国の訪問は難しくなる。勤め人の場合、長期の休みが取りづらいので、西アフリカなど行くのが困難なところは後回しになってしまう。
2016年8月、イタリア北東部のビーチリゾート、セニガッリアにあるレストラン「ウリアッシ」のテラスでランチを取った後、ボローニャに戻るまで半日時間が余った。そこで、訪問国を増やすことも頭に入れた結果、小国サンマリノに行ってきた。
内陸国であるサンマリノの面積は山手線の内側とほぼ同じ約61平方キロメートル。世界で5番目の小国だ。
サンマリノの歴史は古い。301年、マリーノと呼ばれる石工が現在のクロアチアに当たるダルマツィアから、ローマ皇帝のキリスト教迫害から逃れるために建国したという逸話がある。そして、1631年には現存する世界最古の独立共和国として承認された。
サンマリノへはアドリア海沿いに延びるイタリア国鉄のリミニ駅から路線バスで約1時間。理屈のうえでは国境を越えるが、実態はローカル路線バスにすぎない。
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