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政治・経済・投資 #歴史の論理

史実を大切にする社会へ 歴史こそ実務に直結

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  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

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過日、ビジネスマンの方々に講演する機会があった。アカデミックなところを容赦なくお話しください、とのご依頼。そこで昨年はじめに刊行した新著のエッセンスを紹介するプランにした。600ページに近い学術書をあらかじめ読んできて、と求めたのだから、ずいぶん気の毒な話ではある。ところが当日は議論もはずんで、充実した時間が過ごせた。

もっとも右のような機会は、望外希有ではある。ビジネスマン向けといえば、政治にせよ経済にせよ、中国や東アジアの現状は目前の課題と直結するので、セミナーや講演会は数多あろう。しかし歴史屋の出番は、ごく少ない。あっても、昔のことをわかってもらうのが関の山、表面を撫(な)でるくらいの話になってしまう。歴史はたしかに、即答が求められる実務・時事からは、最も縁遠い。

歴史は実務から遠いか

どこの地域でも、現状の分析と歴史の探求は、ディシプリンが異なる。日本の大学でいえば、歴史は人文学に属し、文学部で学ぶものなのに対し、現状のほうは社会科学に属し、法学部・経済学部などで学ぶ。両者が往々にして、接点をもちえない。

欧米人は自分たち以外の国・地域の歴史は、地域研究として勉強する。歴史学として学ばないので、そうした壁はかえって少ないのかもしれない。ところが日本では、世界史の研究がすすんでいて、どの地域でも、マジメでハイレベルな歴史学が存在する。そのため現状分析と乖離してしまう傾向が強い。中国はその典型であろうか。

近年の大国化でますます重要な存在になった中国に携わる人は、たくさんいる。だが現状に精通しても、歴史をほとんど知らず、話題になるのは目先のことばかり、それも欧米の中国に対する関心にひきずられて、日本人にとって必要な事情を把握できているのか、きわめて疑わしい。

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