ニット製品を造るコンピュータ制御の横編み機で世界首位を誇るのは島精機製作所だ。その編み機は、独自構造の編み針からソフトウエアまで本社工場でとことん内製化された独創の塊だ。
従業員数はグループで約2000人。地元出身者が「和歌山の会社といえば島精機」と言うほどの存在感がある。同社を象徴するのは、創業者の島正博氏(80)だ。今年6月には社長を長男の島三博氏へ譲り、会長に就いた。
島会長は幼少時から「発明少年」と呼ばれていた。県立和歌山工業高校機械科(定時制)在学中には、母の内職の作業手袋(軍手)縫製の苦労を軽減してあげたいと、二重環かがりミシンを発明した。
長じて日本のエジソンと呼ばれた島会長の口癖は「逆転の発想」。「マラソンでも、前を走る100人を追い越すのは大変だが、ほかの人と反対の方向に走れば、すなわち首位」(島会長)という。
実際、横編み機の開発でも、「従来は編み地を下から引っ張りながら編んでいたが、上から押しながら編んだほうがいい」と気づき、上から押さえつける装置を発明した。
そうした島会長の先進的な発想に時代がやっと追いついてきた。
糸とプログラムをセットすれば横編み機がデザインどおりニット服を1着丸ごと立体的に編み上げてくれる、ホールガーメント技術だ。1995年の登場時に欧州では「東洋のマジック」と驚嘆された。近年は高付加価値品生産への転換を願う中国企業も購入する。
この記事は有料会員限定です
残り 515文字
