小欄第29回では、韓国の文在寅(ムンジェイン)政権の特使外交、とりわけその中国との関係を論じてみた。読んでくれた知人から伝え聞いた話が、とてもおもしろい。
韓国の知識人がその事件に痛く憤慨していた、というのである。かれ曰(いわ)く「特使をありえない下座に座らせた。米国と2国で朝鮮半島を分けようという意図が見える」と。
怒るところまでは、よくわかる。何より礼節と面子を重んじるかれらのこと、「ありえない」と叫びたい気持ちは理解できなくはない。
中国は韓国を軽んじている。そこはまちがいない。何しろ香港の行政長官と同じ席次で、「中国の一部」とみなされたのである。
もっともポイントは、そこではない。そのように韓国を冷遇した中国が、米国と朝鮮半島を分割しようと考えている、というのはいかがであろうか。
韓国の小中華意識
中国が史上、朝鮮半島を分割支配したのは、はるか唐以前、ようやく半島に国家らしい国家ができる頃の話である。それ以後は、自らの利害に反しない勢力・政権であれば、存在を認めるようになった。たとえば、かつての朝鮮王朝、現在の北朝鮮がそうである。
中国に対してばかりではない。周囲が虎視眈々と自分たちを狙って、あわよくばわがものにしようとしている。そんな半島の人々の自己認識・情勢判断は、周囲にいる当のわれわれからみると、かなり違和感を覚える。
たしかに朝鮮半島は東アジアで、重大な地政学的地位を占めている。その住民は歴史的に中華思想、「小中華」意識を有していた。自らの徳義に矜恃をもちながら、しかも周囲の圧迫を受けやすい。そこから美しくも悲劇的な自画像を描きがちである。
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