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自国通貨への不信から 中国の統計のウソ

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  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

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中国経済はわからない。そもそも公になった数値が信用できない。杜撰(ずさん)で名高いのが、中国の統計である。先日も地方政府のGDP(国内総生産)水増し疑惑が報じられていた。

実に昔から同じである。中国二千年の歴史、経済統計的な記録・史料は少なくない。時代が近づけば、有り余るほど存在する。しかし実態として信じられる数字は、皆無といって過言ではない。

算出のコンセプトが、現代と同じではないので、当然といえば当然である。たとえば、単位のちがう絹や米や銭を平気で合算する、実際に計量できるはずのないコンマ何万分の一以下まで出てくる、などなど。いかに数値が豊富にあっても、それがあらわす中身は、ほとんど信じられない。

もっとも、そんなデタラメな数字でも、複数が時期・場所など、多元的に存在していれば、相互の関係をはかり、比較対照をすることで、どれだけ実態とかけ離れているか、推測は可能である。

ウソをつかせるのは何か

それは目前の中国経済分析でも、どうやら変わらない。GDPや成長率の数値が厳密には信用できなくても、全体の趨勢として大きな狂いはなさそうであって、誤差も一定の範囲内にとどまる。目下、数字に表れる中国経済の減速や下げ止まりも、それなりに正鵠を射た局面なのだろう。

統計はそもそもstatisticsというくらいなので、国家stateのありようと密接に関わっている。国家権力というのは、多かれ少なかれ二枚舌の習癖をもつから、通例の統計でもウソはつきものである。

だから虚偽というだけなら、どこも変わらない。問題はむしろウソをつかせる政治と経済の関係にあって、中国はそこが欧米や日本と異なるから、「誤った」統計数値が出てくるわけである。その誤りをすぐに正す方法も、さしあたっては見あたらない。それなら正誤を云々(うんぬん)するより、誤りを織り込んだ上で、国家形態の異同を見るほうが生産的、建設的ではあるまいか。

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