世界最高の宿はどこですか? という質問にはこう答えることにしている。「スリランカにあるルヌガンガです」と。
スリランカのガイドブックで必ず紹介されているのが、熱帯建築家と称されるジェフリー・バワ。その私的な別荘がルヌガンガだ。
バワは世界最高級のリゾート「アマンリゾート」の創業者エイドリアン・ゼッカに大きな影響を与えた。世界中のホテルやリゾートで目にする、水平線とプールの水面が溶け合うインフィニティプールも、バワが初めて手掛けたといわれる。この伝説的な人物の別荘を、2016年5月に訪れた。
コロンボ駅からルヌガンガの最寄りのベントタ駅へは南に約60キロメートル。3等車(運賃約40円)は走行中も扉を全開にして走る。進行右側に座ると、波しぶきが飛んできそうなほど海が近い。五能線のスリランカ版といったところか。
駅から3輪タクシーで内陸に向かう田舎道を飛ばすこと15分。うっそうと茂った南洋林の脇に鉄製の門があった。呼び鈴を聞いたスタッフが来るまで5分はかかる。ここは時の流れが緩慢らしい。
ルヌガンガは6.1ヘクタールの敷地内に、コンセプトの異なる部屋が六つ点在する。この日はほかに宿泊客がいなかった。日中こそ見学者の姿が見えたが、夕方以降は広大な空間がすべて自分一人のものとなった。湖を見下ろす高台のテラスで黄昏(たそがれ)時の変化を観察しながら、ろうそくの下でスリランカカレーを食べる。これを米粉麺に絡ませると、えらく美味なのだ。
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