失業率は3%まで下がり、有効求人倍率はバブル期のピークさえ抜きそうな勢いである。しかも、この人手不足は今後さらに深刻化していく可能性が高い。
アベノミクスの最大の成果は雇用情勢の改善にあるといわれる。確かに生産年齢人口が年率1%近く減る中で、第2次および第3次安倍晋三政権の4年間に就業者数は200万人以上増えており、これは印象的な数字だ。もっとも、その内実を見ると、増えたのはもっぱら非正規雇用の短時間労働者であり、人数×労働時間で測った労働投入量はほとんど増えていない。だから、経済成長率は高まっていないのである。
短時間労働者が大幅に増えた理由の一つは、団塊世代が65歳を過ぎても予想以上に働き続けたことにある。ただし、主に再雇用などで週5日のフルタイムではないから、労働時間は大きく減少している。もう一つは、主婦パートの増加である。ここ数年、女性の労働参加率は顕著に上昇しているが、保育所の不足などもあってフルタイムはあまり増えておらず、「女性が輝く社会」とは言いがたい。配偶者控除の上限を気にして就労調整をするような短時間のパートが大部分である。
こうした短時間労働者の増加自体は、好ましいことだと筆者は評価している。まず第一に、安倍政権下の平均実質成長率は1.3%だが、もし短時間労働者の増加がなかったら1%成長さえ無理だったろう。労働力不足対策としての高齢者と女性の活用が進んでいるのは、間違いのない事実である。
第二に、非正規雇用=不幸な人たちというとらえ方は偏見である。今増えているのは、65歳を過ぎても元気に働き続ける高齢者であり、子育てを終えて時間に余裕のある主婦たちだ。就職戦線は完全に売り手市場だから、新卒時に正規雇用を望んでも職が得られず、仕方なく非正規雇用に就いた人(不本意非正規雇用)の数は着実に減少している。
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