異常な状況下で結ばれた男女の愛は長続きしない──。アメリカ映画『スピード』のラストで女主人公のサンドラ・ブロックが、もう一人の主人公キアヌ・リーブスの腕の中で吐いた名ゼリフだ。
作品は大好評で続編が企画され、サンドラは出演したが、キアヌは出なかったのでその布石のようなセリフでもあった。
作品でのキアヌの奮闘ぶりはすさまじく、危険なシーンもすべて自演しスタントマンを使っていない。私はかねてから、スタントマンのシステムに非人道的なものを感じているので、キアヌの熱演には感動した。
同じようにどんな危険なシーンも自演する俳優に、トム・クルーズがいる。彼も決してスタントマンに頼らない。『ミッション:インポッシブル』での彼の活躍ぶりには目を見張る(『トップガン』とともに、目にタコができるほど、BSで繰り返し放送されている)。
異常な状況下で結ばれた男女が時を経て再会し、焼けぼっくいに火がついた映画が『愛の嵐』だ。
ナチ将校役ダーク・ボガード(『ベニスに死す』の主人公もやった)に愛玩され、異様な愛に支配されるユダヤ人少女役シャーロット・ランプリングの二人が戦後のウィーンで再会する。男はホテルのフロント係。女は高名な指揮者の妻。なぜそうなったかのせんさくはここではいい。
その夜二人は昔の異常な状況下での狂った愛を再現する。この映画でのシャーロットの退廃ぶりが忘れられない。ニヒルでアンニュイなオーラは、その後ロバート・ミッチャムがフィリップ・マーロウを演じ、シャーロットが謎の女を演じた『さらば愛しき人よ』でも遺憾なく発揮された。
そのシャーロットが美しく上品な老い方をして、あらためて私たちの前に姿を見せた。『さざなみ』だ。そして相手がなんと! トム・コートネイなのだ。トムは若い頃、私が夢中になった俳優だ。
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