東芝が大変な局面を迎えている。2006年秋に買収した米ウエスチングハウス(WH)が、貧乏神と化してしまったからである。これは人災なのであろうか。それとも天災なのであろうか。
東芝は米ゼネラル・エレクトリック(GE)の技術を導入して、国内で原子力発電所の建設を請け負ってきた。ところが1999年に東海村で臨界事故が起きて、日本の建設計画は凍結されていく。ここで東芝は、国内に居残って技術の途絶を甘受するか、それとも海外に打って出て事業の飛躍を目指すか、決断を迫られた。
折しも01年に入ると米国で原子力発電所の建設機運が見えてくる。打って出るなら、東芝は現地でGEかWHのいずれかと組むしかない。WHは三菱重工業に技術を供与し、蜜月関係を保っていた企業なので、組むならGEであった。
東芝はGEの意向を打診して脈ありと判断するが、先方が腹をくくらない。そうこうするうちに三菱重工業がWHの買収に動きだす。WHを買われてしまえば、東芝の海外進出オプションは消えてなくなる。さて、どうするか。これが05年夏時点の状況である。
東芝はWHの争奪戦に名乗りを上げ、最終的に三菱重工業が妥当とした価格の3倍を超える水準で落札に成功した。ところが、その2年後、重い借金を背負った東芝にリーマンショックが襲いかかる。倒産の2文字が見えてきたところで、東芝は不正経理に手を染めてしまった。
緊急避難措置の経理手法が恒常化したのは、シェール革命の追い打ちを受けたからであろう。これで原子力発電の優位が吹き飛んで、東芝傘下のWHは各方面で理不尽な譲歩を重ねざるをえなくなった。そのコストが今になって露呈し、東芝に重くのしかかっている。
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