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ライフ #非常時の組織論

まるで別世界だった防衛大生の後輩指導 周り人々の評価を気にする愚

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「完全喫食しろ!」

防衛大学校の食堂で、4年生に言われた2年生は、山盛りの白米を必死にかき込んでいた。このとき私は、28歳で指導官になったばかりだった。

春になると防大では、カッター競技に向けた訓練が行われる。カッターとはこぎ手12人のボートで、競技は学生が所属する16個の中隊対抗で行われる。こぐのは2年で、指導役が4年だ。

訓練期間は約3週間と短いが、実際にこぐ2年は優勝するため同期同士が切磋琢磨、叱咤激励し、精神的にも肉体的にも限界へ挑む。4年も優勝させようと苦心惨憺(さんたん)し、厳しい中にも深い愛情を持ちながら、2年を指導するものとされている。

私は、山盛りの白米を無理やり食べさせる理由がわからず、4年に聞いた。

「何でそんなに食わすんだ?」

「パワーをつけるためです」

「何? コメを食うと筋力がアップすると思ってんのか?」

「……」

「2年、おまえらもそう思うのか?」

「……」

「思ってねえよな? じゃあ、何で言うこと聞くんだ?」

「……」

「こいつの言うことなんか聞いてたら、勝てるものも勝てねえだろ」

防大生の特性をもう少し知っていれば、こんな言い方はしなかった。着任直後の私は、自分が日本体育大学の学生だった頃の常識、勝つためにほかの欲求はすべてあきらめる、という発想でしゃべってしまった。いきなりそんな感性を押し付けられ4年も2年も戸惑うばかりだった。

しかし、不思議でならなかった。私のように、どうせ使わないからといって、教科書も買わないようなバカな高校生でも、真剣に運動をしているやつらはみんなスポーツ医学や栄養学の本を読んでいた。どんな練習をすべきで、何を食べたらいいのかを、ごく普通に必要な知識と思っていたし、知ろうとした。

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