27年前にベルリンの壁が崩壊したまさにその11月9日、中南米からの移民対策として、メキシコとの国境に壁を築くと公言する、ドナルド・トランプ氏が米国の大統領選挙で勝利した。
トランプ氏の暴言は数知れない。選挙前はトランプ氏有利が報じられるたび、政治・経済の専門家は嘆き、株価は暴落してきた。当選となれば、さぞや悲観論が蔓延するだろうと思いきや、手のひらを返したように、好意的な解釈が続出している。
オバマ政権下で進められた金融規制強化の見直しや、10兆ドルの大減税、巨額のインフラ投資……。期待感をあおり立てて、日経平均株価は選挙直後の落ち込みから一転し、1000円以上も反発した。
勝利演説がまともだったとか、勝利を祝福した各国首脳の反応が良好だったとか、当選後オバマ大統領に会って、ツイッターに「相性抜群」と書いたとか、そんな枝葉末節を見てだまされてはいけない。
筆者の経験則ではあるが、パフォーマンス重視の人物は信頼が置けない。いっときは紳士を装っていても、その後は豹変し悪評どおりの人物に戻ってしまうものだ。トランプ氏も、危険な思想はごく短い期間隠されているだけにすぎないのではないか。
話題の電通の鬼十則にこうある。「周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる」。トランプ氏はこれに通じるところがある。
日本は今後、トランプ新大統領にさんざんに振り回されるだろう。駐留米軍の基地負担を要求してきたとき、日本の対米貿易黒字を減らすために関税率を見直すと言われたとき、核保有に再び言及してきたとき……。はたしてどう対処すべきか。トランプの牽制球に対してはっきりとNOを表明しなくてはならない。安易な妥協ではなめられる。
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