INDEX
2012年から本格的に政権を担っている金正恩(キムジョンウン)氏は、これまで「経済建設と核武力建設の並進路線」を掲げてきた。これは「核という絶対的な国防力を確立できれば通常兵力への投資が不必要になり、その分を国民経済の向上に回すことができる」というものだ。
「苦難の行軍」といわれ餓死者も続出した1990年代後半の経済難からは脱した北朝鮮だが、それでも世界的に見れば低開発の途上国だ。それなのに、巨額の資金が必要な核実験を1年に2回も行えるのはなぜか。
そんな疑問を解くカギの1つとして、中国との貿易活動が指摘され続けてきた。通常の貿易に加え、ミサイルや銃器などの兵器ビジネスさえも中国を経由して行われているという見方もある。
16年年初の4回目の核実験以降、中国は米国中心の対北朝鮮経済制裁に同調する動きを見せ、同年4月には「禁輸品リスト」を発表。北朝鮮との貿易を制限し始めた。さらに9月、遼寧省の公安当局が、中朝貿易でその存在がよく知られ、核開発を手助けしているとされていた中国企業・丹東鴻祥実業発展有限公司に「重大な経済犯罪の疑いがある」と発表。中国が経済制裁に本腰を入れ始めたという見方も出ている。
実状はどうなのか。中国が発表する「海関(税関)統計」には、中朝貿易に関するデータが掲載されている。これを見ると、「中朝関係はシビアなものになっているが、貿易状況に決定的と言えるほどの変化は見えていない」と、中朝情勢に詳しい一般財団法人霞山会研究員の堀田幸裕氏は指摘する。
貿易の9割弱が対中国
韓国貿易協会が発表した15年の北朝鮮の貿易総額は62億5200万ドル(約6540億円、前年比18%減)。うち、中朝貿易の総額は54億3000万ドル(約5680億円、同14.7%減)と、全体の9割弱を占める。
この記事は有料会員限定です
残り 743文字

