5年前に挑んだ事業で巨額の損失を出し、撤退に追い込まれた。
三菱重工業は10月18日、大型客船事業からの事実上の撤退を表明した。今後、造船事業は中小型客船やLNG(液化天然ガス)運搬船に集中。将来的には分社化を検討するほか、他社との提携強化を進めていく方針だ。
問題となっていたのは2011年に世界最大のクルーズ会社・米カーニバル社傘下の欧州アイーダ社から受注した2隻の大型客船。推定受注金額は計約1000億円に上る。だが、設計・工事の混乱や納期の遅れなどで累計2408億円もの巨額損失を計上する結果となった。
三菱重工は、造船事業で韓国・中国勢との競合が激化する中、汎用の一般商船から撤退し、技術力を生かせる高付加価値船を志向。LNG船などとともに造船事業の柱に位置づけたのが、欧州大手3社が寡占する大型客船だ。
実は04年に同規模の大型客船を建造したことがあったが、このときはすでに他社が手掛けた同型の船があった。一方、今回は新型客船の1番船でコンセプトや仕様を一から作り上げなければならなかった。しかも、船内にビール醸造所を建造するなど特殊なノウハウが必要とされた。
結局10カ月と見ていた基本設計だけで3年以上を要した。建造に着手してからも仕様変更に伴う再発注や調達先変更、やり直し工事、ぼやなどが発生。顧客の求めで欧州から作業員を呼び寄せるなどコストが膨れ上がった。
もともと、最初の2隻はある程度の赤字覚悟で、その後の継続受注によって投資を回収していく算段だった。とはいえ、2000億円超の損失は想定の範囲を超えていた。
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