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ビジネス #誰がための労働組合

日本の労働組合の根本は対立と協調の2面性 ドイツでは経営協力と労使対立は完全に別組織

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  • 濱口 桂一郎 労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長
ナショナルセンターや産業別労組は寄り合い所帯にすぎない(撮影:尾形文繁)

労働組合を考える際に初めに理解すべきは、労使関係の2面性だ。労働者が雇用されて働く際、企業の一員として生産活動に向けて協力する側面と、賃金・労働条件などで対立する側面がある。この相反する2面性をどう処理するかは国や地域によって異なるが、日本の場合は企業別労組が双方の立場を務めるのが特徴だ。

これがドイツなど欧州主要国であれば、前者の役割を事業所委員会や企業委員会などと呼ばれる従業員代表組織が担う。また後者の役割は、企業の外側に組織された産業別労組が担い、賃金や労働時間などの労使間で利害が対立する条件を企業に交渉している。従業員代表組織と労組の構成員は実際には重複することが多いが、仮に同じ人物でもどちらの組織を代表しているかによって、お面を着け替えるように言動を明確に使い分けている。

これに比べ、同じ企業別組合がこの両面を同時に担う日本はかなり様子が違う。だがそのよしあしは単純には評価できない。現在は労組が従業員代表の側面に引っ張られており、経営側の事情を忖度(そんたく)しすぎているという批判がある。だが同じ仕組みが、1970〜80年代には国内外から高く評価された。つまり、欧米の労組が経営に配慮をせず賃上げを要求するのに対し、日本では労働者が企業経営上許される範囲で賃上げ要求をする、これが日本の強さの一因だ──といった見方だ。

労組のあり方そのものを変えるべきという議論は確かにある。特に高度経済成長期からある時期まで、産業ごとに労使交渉しようとした時期があった。だがこの試みは基本的にはすべて失敗した。ましてや、企業別組合をやめ産業別組合にするのは、現実には至難だ。日本で産業別組合と呼ばれている組織は、実態は企業別組合の寄り合い所帯にすぎない。ましてや日本労働組合総連合会(連合)や全国労働組合総連合(全労連)などのナショナルセンターはそのまた寄り合いだ。

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