日本銀行の金融政策では膨大な長期国債の買い入れやマイナス金利政策が注目されがちだが、常軌を逸した株価対策も注目すべきだ。7月29日の金融政策決定会合で決まった、ETF(指数連動型上場投資信託)の買い入れペースをほぼ倍増させる措置がそれだ。
これまでETF保有残高を年間3.3兆円増やすペースだったが、8月からは年間6兆円になるように買い入れ額を増やしている。倍増の理由について、日銀の黒田東彦総裁は、海外金融市場の不安定な動きを背景に、「企業や家計のコンフィデンス悪化につながることを防止する」と述べている。回りくどい言い方だが、要は株価の下支えである。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は今回の措置に対し、「株式市場へのインパクトが大きすぎる」と警鐘を鳴らす。日本株市場の時価総額は約500兆円。これに対する日銀の6兆円は小さく見える。だが、藤戸氏はストックではなくフローで比較する重要性を強調する。「外国人投資家が年間で買い越す場合は約2兆円超(史上最高の15兆円を記録した2013年は除く)。事業法人の自社株買いとGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買いがそれぞれ2兆円ほど。日銀の買いはこの全部を足し合わせた規模になる」(藤戸氏)からだ。
ちなみに外国人投資家は15年に年間で約2500億円売り越し。一方の日銀は年間6兆円の保有残高拡大を約束した「買いオンリー」の投資家である。本来、株価は将来の企業収益を市場が織り込みながら形成されていくもの。だが、日銀にファンダメンタルズは関係ない。ただ買い増す。そんな投資家が一段と存在感を高めれば、株式市場の価格形成機能は壊れかねない。
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