英国のEU(欧州連合)離脱決定以降、金融市場は大荒れとなり、為替相場は見通しにくい状況が続いている。フェアバリューの存在しない為替の世界においては、見通し作成上さまざまな尺度が存在するが、目先の金融政策や各種イベントに惑わされることなく、大局的に今をとらえることを推奨したい。
円はドルを基軸通貨とする変動相場制のルールの中で生きているので、ある程度乱高下することは致し方ない。1985年以降の円高・円安の「波」に関し、ラフな区切りを行い、各期間の長さやそこでのイベントをキーワードと共に示したものが図表1となる。
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円高も円安も、過去30年間を振り返れば、いったん始まった「波」はおおむね3〜4年単位で続くイメージがある。むろんおのおのの「波」の背景は千差万別で、共通要因があるわけではない。しかしながら、いったん始まった波が1年程度で収束することはまれというのが経験則だ。
現状の円高局面は、昨年6月10日に黒田東彦日本銀行総裁が「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れることはありそうにない」と述べてから始まっているとすると、まだ1年しか経っていない。
米の景気拡大が長期化
なお、おのおのの「波」の背景は千差万別だと述べたが、実際のところ共通要因がまったくないわけではない。しょせんは基軸通貨の意向が幅を利かせるのが変動相場制である。ドル円相場の波はどうしても米財務省やFRB(米国連邦準備制度理事会)の政策運営によって作られがちになる。では、米財務省やFRBの政策運営はどのような要因で変節するか。当然、米国の景気循環の影響を受けるわけで、足元では米国の景気拡大が歴史的な長期間に及んでいることのリスクを不安視せざるをえない。
今年7月時点で米国の景気拡大は85カ月目に突入しており、1901年以降、史上4番目の長さに差しかかっている。金融政策の効果が12カ月程度のラグを伴って出てくるのだとすれば、今から利上げすると景気拡大が100カ月超のタイミングで実体経済に引き締め効果が出てくる話になる。こうした認識に立てば、「今秋以降、FRBは利上げ路線に復帰し、ドル円相場は再浮上する」などと予想する気にはとてもなれない。
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