政治的な危機というのは複合的な要因によって引き起こされる。カリスマ性は備えても強欲で傲慢なリーダーが出たり、人々が恐怖心を抱いたときなどだ。命の危機に直面すると、人々はときに扇動され、集団で暴力さえ働いてしまう。
ヒトラーの時代はまさにそうした時代だった。彼はカリスマ性こそあったが傲慢かつ強欲で、当時、アーリア人とユダヤ人はまさに生死を懸けて戦っていた。
米大統領選の共和党候補であるトランプ氏やフランス極右党首のル・ペン氏など、現在も扇動的な政治家はいる。彼らは独裁主義ではなく大量殺戮も手掛けていないため、ヒトラーと通じるわけではない。しかし恐怖心で大衆を扇動しているのは確かだ。
たとえばトランプ氏は裕福さをひけらかし、強欲さを印象づけている。型破りな傲慢さで奇妙なカリスマ性をまとうことにも成功した。
彼はこう宣言した。中国やロシア、「イスラム国」、その他あらゆる国に対し、米国の強さを知らしめる。シリア難民は受け入れない──。また難民の中に、テロリストが紛れ込んでいるかもしれない、と警鐘も鳴らしている。
トランプ氏同様、米大統領選のほかの共和党候補も、難民問題で人々の恐怖心をあおっている。より穏健といわれるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事でさえ、難民の入国はキリスト教徒以外認められないとまで言い切った。
米国では毎年1万人以上が鋭で命を落とすが、そうした犯罪にイスラム教徒はほぼ関与していない。にもかかわらず、イスラム教徒は危険すぎて、少数の難民でさえ受け入れられないと言われているのだ。
イスラム過激派のテロが米国やそれ以外の国で起こる可能性は否定できない。仮にテロが起きたら、不安から扇動的なリーダーに票を投じてしまう米国民も増えるだろう。米国の友人も、「あと1回テロが起これば、トランプ氏が大統領になるかもしれない」と言っていた。
この記事は有料会員限定です
残り 702文字
