旅行業を超えた「交流文化事業」で
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広がる地域交流ビジネスが
日本の食農を海外へつなぐ

JTB西日本
食農海外販路支援室 部長
西川太郎

食農海外販路支援室は、長年にわたり食と農に関する国際コンベンションや海外マッチングビジネスを手掛けてきた。「近年、日本の食と農はTPPや後継者問題などで岐路に立つ一方、海外では日本の農産物・食品の安心、安全、おいしさが高い評価を受けている。日本食が世界的ブームとなり、特に経済成長著しいアジア諸国での購入・消費拡大の可能性が期待されること、さらに食文化を通じて日本と海外との交流を深めていくことが、食農海外販路支援室の使命」と西川太郎部長は熱を込める。

昨年はアジアの交易拠点として人気が高まる沖縄で開催された「沖縄大交易会プレ交易会」において、マッチング業務運営を一手に引き受けるなどの実績を残している。今年も11月にシンガポールで「Japanese Foods Trade Fair」に続き、第一回「沖縄大交易会」のマッチング業務を受託。2015年も3月に香港、9月に台湾で同様の商談会を開催する運びだ。

行政主導の商談会とは異なり、国内のサプライヤーは参加費用を負担しなければならない。しかし、食農海外販路支援室が事前にサプライヤー、海外バイヤー双方のプロフィールやニーズを仔細にわたりリサーチし、“両想い”になる可能性が高い商談をセッティング。また、オプションで海外の百貨店・スーパー、レストラン、Eコマースなどを活用したテストマーケティングや、サンプル出荷まで、海外販路開拓に必要な支援メニューをワンストップで提供することで、高い満足度を獲得している。

サプライヤー、バイヤー双方のニーズを詳細にリサーチし、商談をセッティング。ビジネスへと実を結ぶ可能性を最大限に高めているのがJTBグループが企画する商談会の最大の魅力だ

実際に沖縄のプレ交易会に参加した梨生産者、白岩恒美農園(京都)は、「海外初心者の事業者でも事前研修があって安心だし、個別商談なので、しっかりとビジネスの話ができ、香港やシンガポールでの販路を創出できた」と確かな手ごたえをつかんでいる。先の「道産酒」も、白岩恒美農園のように海外へ羽ばたく日は遠くないだろう。

「ここからさらなる飛躍を目指す」と意気込むのは、JTB旅行事業本部・観光戦略チームの鹿野英克マネージャーだ。地域活性化の両輪である「食・農」と「観光」双方の視点を取り入れ、食農観光の担い手育成、特産品の開発・販売のコーディネートやチャネルづくりに取り組んでいくという。「最終的には特産品流通を介して地域の魅力を伝え、訪問するきっかけを創出する持続的好循環の実現を目指す」(鹿野氏)というから楽しみだ。

今後、JTBグループの交流文化事業の真価が、次の100年にどう開花するのか期待がかかる。

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