この1年間の株式市場の不安定さは、大部分が中国や欧州経済、原油価格の変動によるものである。2016年初には米国でさえ不況に陥りそうだと、投資家たちが混乱に陥った。確かに米国経済にもリスクはある。中国経済の減速や欧州の財政問題は米国さえも不況に陥らせるインパクトを秘めているからだ。17年春には、米大統領に不動産王トランプ氏が就くという恐ろしいシナリオも浮上している。
ただし今の米国経済のファンダメンタルズはさほど悪くない。雇用関連の統計は堅調で、消費者マインドも底堅い。原油価格下落の影響も、米国経済を腰折れさせるほどのインパクトは持っていない。ではなぜ先行きが危ぶまれるのか。それは何か巨大な危機が起こるという、人々の「不安」が原因である。
昨今の株式市場の混乱は、第二次世界大戦後の10年間の景気悪化のケースと似ている。いずれも安全資産への需要が急激に膨らんだ。
第二次大戦から約10年後にも、著名経済学者のジョン・ケネス・ガルブレイス氏が不況の可能性を指摘すると市場に緊張感が走った。当時世界は2度の世界大戦、インフルエンザの大流行、大恐慌など多くの試練を乗り越えたばかりで、核戦争の影もちらついていた。そうした不安が市場の動揺を誘っていた。
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