欧州の安定が複数の危機によって脅かされている。一つはシリア内戦などの地域紛争、それに伴う第2次世界大戦以来の規模の難民急増、さらに英国のEU(欧州連合)脱退の可能性、ロシアの拡大主義、欧州各国のナショナリズムへの回帰、欧州の財政問題などだ。
ロシアのプーチン大統領はそうした危機のいくつかを意図的に悪い方向へと誘ってきた。ウクライナのクリミアを併合し、シリアでは軍事介入により中東紛争を激化させ、難民危機を深刻化させた。プーチン氏のこうした脅威に、EUは腰を据えて向き合う必要がある。
今欧州を席巻するナショナリズムは、ロシアの各国極右政党に対する資金提供に起因する。極右政党の台頭は、難民問題解決への欧州の一枚岩の対応に水を差している。
たとえば英国では、プーチン支持派の英国独立党の人気に押され、政府は難民受け入れの確約を拒否している。スウェーデンでも極右政党の民主党が急速に支持者を増やしており、国境は閉鎖されたままだ。こうした嘆かわしい意思決定が欧州全体で行われているのだ。
プーチン氏は難民危機の根本的原因であるシリア紛争の政治的解決に向け、国際社会の交渉も妨害している。シリア政府軍は反政府勢力が掌握する都市アレッポを奪還しようと侵攻しているが、ロシアは空爆で政府軍を支援しており、和平プロセスをさらに困難にさせている。
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