英国が欧州連合(EU)脱退の是非をめぐって揺れている。賛成派の根拠の一つとなっているのが、英国が「アングロスフィア」と言われるコミュニティのリーダーとして、新しい時代の役割を担うだろうとの考え方である。
アングロスフィアとは、英語圏で同様の文化や価値観を持った国々のこと。具体的には米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドなどが含まれる。これらの国々は価値観だけでなく、歴史や法律、民主主義制度といった社会基盤も共有しており、その結束が世界平和に貢献できると一部で考えられているのだ。
英国が率先してこのコミュニティの中心に位置することは、硬直化し、分裂の兆しさえあるEUにとどまるより価値あることだというのが彼らの主張だが、それは幻想にすぎないように私には見える。
アングロスフィアの根本的な問題は、地政学的、経済的、あるいは政治的な点で、このコミュニティに興味を持って参加しそうな国がほとんど見当たらないことだ。
今世界で地政学的に重要なことの一つは、米国と中国との覇権争いである。米国は中国を牽制するためにも同盟国を欲しており、豪州やニュージーランドといった英語圏の国々はその候補ではある。しかし米国にとってより重要なのは、日本や韓国、さらにインドネシア、タイといった東南アジアの国々である。オバマ大統領が2月、カリフォルニアで米ASEANサミットを開催したのは、その好例である。
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