電子部品大手のTDKは、1月13日に半導体大手の米クアルコムと高周波部品事業で合弁会社を設立すると発表した。将来的に持ち株を総額約3600億円でクアルコムに売却できるオプション契約を結び、事実上の事業切り離しである。
業績拡大を牽引したスマートフォンの成長鈍化が鮮明になり、電子部品業界は転換期を迎える。どう勝ち残るのか。上釜健宏社長に聞いた。
──今年で社長就任から10年。なぜ今、構造改革に乗り出すのか。
10年やって得た教訓は「構造改革はいいときにやっておいたほうがいい」ということだ。就任以降、コンデンサーの競争激化に加えてリーマンショック、東日本大震災、超円高などが起きた。そのため構造改革を始めたが、どうしても「弱い分野を何とかしよう」という方向になり、萎縮してしまった。
本当は今のように好調なときこそ、構造改革をやらなければいけない。それも、弱い分野だけでなく、強い分野でも思い切って攻める改革を実行することが必要だと学んだ。
──クアルコムと合弁会社を設立し、自社から高周波部品事業を切り離す。決断した背景は?
現状の高周波部品事業を見ると、単品で売るビジネスは儲かっており、部品を組み合わせて売るモジュール事業は赤字だ。だが、スマホ市場はモジュール化が進んでいる。ある顧客には「将来的にはいくつかのモジュールとディスプレーとバッテリーをはめ込むだけでスマホが造れるようになる」とまで言われた。
その流れに自社だけで対応しようと思うと、高周波部品だけでなく、周辺分野も取り込んで強化しなければならず、大掛かりな投資が必要だ。ならば、苦手なモジュール分野を1社で頑張るよりも、単品売り事業が好調な今のうちに他社と組んだほうがよいという判断になった。
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