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パラダイム転換は待ったなし 事前の安心から事後の安心へ

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今週の眼】三品和広 神戸大学大学院教授
みしな・かずひろ●1959年生まれ、愛知県出身。一橋大学商学部卒業。同大学大学院商学研究科修士課程修了。米ハーバード大学文理大学院博士課程修了。同大学ビジネススクール助教授、北陸先端科学技術大学院大学助教授などを経て現職。著書は『戦略不全の論理』など多数。(撮影:梅谷秀司)

日本の企業社会は紛れもなく激変の時代に突入した。そこで求められるパラダイム転換を理解するカギは、何げなく使われる「安心」という言葉の奥に潜んでいる。

日本企業は、従業員が安心して技能の習熟や技術の開発に邁進できるよう、終身雇用を標榜してきた。同様に、経営者が安心して雇用維持を優先できるよう、内部留保を厚くする一方で株式の持ち合いを進め、経営と株式市場の間に緩衝地帯を設けてきた。さらに事業面では総合化を志向し、何々のデパートと呼ばれることを是としてきたのも、安心を買う方策と理解できる。

ところが、ここにきてリストラは日常茶飯となり、中途採用と併用する企業も珍しくない。そしてROE経営を標榜し、内部留保の株主還元策に乗り出す動きも顕著になってきた。株式の持ち合い構造は音を立てて崩れ始め、ファンドを抑え込む買収防衛策も趨勢は撤廃である。事業の総合展開にも再編・解体の波が押し寄せている。

敗戦という極限状態を経た日本が何にも増して重視してきた安心は、どこに行ってしまったのか。日本の強みを捨てて、世界でまっとうに戦えるのか。日本の豹変ぶりを苦々しく見つめる読者も少なくないに違いない。実際に、急すぎると映るのも、米国かぶれと映るのも無理はないほど、昨今の転進はスピードも速ければ、歩幅も大きい。

しかしながら、パラダイム転換は待ったなしである。ベルリンの壁が倒れ、グローバル競争の火ぶたが切られてから四半世紀ものあいだ、日本は蚊帳の外に身を置いてきた。くしくも同じタイミングでバブルがはじけ、日本は国内の改革に追われたからである。遅れを取り戻そうと思うなら、ここは荒療治に出ざるをえない。

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