欧州連合(EU)にとって2016年は、かつてない困難を抱える年となるだろう。これまでもEUはユーロ通貨危機などの困難に直面した。だが各国の努力の甲斐あって政策協調の仕組みが整えられ、ユーロ圏は存続を果たした。
しかし現在のEUの課題はより深刻だ。欧州の近隣はイスラム過激派によるテロとロシアのウクライナ東部侵略などで戦場と化した。EUによる市場開放や法的支配といった理想も、周辺地域の混乱によって脅かされている。
シリア難民問題も深刻化の一途をたどる。実際には祖国を追われた人々のうち、EU圏内へ入ろうとする人々はほんの一部にすぎない。16年に到着する難民は約100万人と予想されるが、EUの人口全体から見れば0.2%だ。ただし短期間で押し寄せたため、すでにEUの対応力は限界に達している。国境管理や移民受け入れの各国間の調整などの課題が眼前に並ぶ。また難民を欧州社会にどう融合させるかといった長期的な展望も描きづらい。
難民以外にもEUは多くの課題を抱える。環大西洋貿易投資協定(TTIP)だけでなく、15年春に掲げた「デジタル単一市場」構想、域内の金融市場の垣根をなくす「資本市場同盟」などは、競争力強化にいずれも重要だ。だが各国間の調整は一筋縄ではいきそうにない。
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