11月26日に一億総活躍国民会議から発表された「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」を読んだ。具体的な約束には乏しいものの、安倍政権の理念を語る文章である。正直なところ、最初は期待していなかった。
しかし、まず、驚いたのは「包摂」という言葉が「基本的考え方」として用いられていることである。
この言葉は、タレントの菊池桃子さんが会議で用いて話題となったそうであるが、「社会的包摂」とその対義語である「社会的排除」は長い歴史を持つ。起源は1970年代のフランスである。その後、ヨーロッパ諸国を中心に社会政策の基本理念として確立した。欧州連合(EU)が2010年に採択した「欧州2020戦略(Europe 2020)」では、「包摂的な成長(Inclusive Growth)」のスローガンの下に、「貧困と社会的排除にある人」の数を20年までに2000万人減らすという数値目標が掲げられている。
実は、日本においても民主党政権の時代に、内閣官房に「社会的包摂推進室」という部署が設置された。しかし、自民・公明政権の誕生直後にこの部署は廃止され、政府文書の中に「包摂」という言葉も見られなくなった。
しかし、社会的包摂は特定の政治思想に属するものではなく、政治に翻弄されるべきものではない。日本学術会議においても、社会的包摂を再び政策の中心に置くべきという意図で、14年9月に「いまこそ『包摂する社会』の基盤づくりを」という提言を取りまとめている。
そもそも、社会的排除/包摂とはどのような理念なのか。これまでの社会政策とどこが違うのか。
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