大仕事を終えた後の政治家は、虚脱状態に陥ることがままある。郵政選挙後の小泉首相がそうで、あの時期にやっておけば、と思われることはたくさんあった。
新安保法制という戦後政策の大転換を果たした後の安倍首相はどうか。双務的な対米関係という岸信介首相の理想に一歩近づいたが、それほど喜んでいる様子はない。少なくとも抜け殻とは程遠く、訪米後も中央アジア歴訪、日中韓首脳会談などの外交日程を楽しみにしているようだ。
しかるに今後の安倍政権の大目標は何なのか。自民党総裁に再選され、向こう3年間で何を達成するつもりなのだろうか。
新安保法制を実務レベルに降ろしていく過程で、2~3年は軽くかかってしまうので、今から憲法改正に取り組むのは非現実的であろう。たとえ国会で3分の2の賛成が得られたとしても、あれだけの世論の反発があった後では、国民投票を通るとは思えない。保守層の支持者の手前、旗は降ろせないけれども、3年間で憲法改正ができるとは思っていないはずである。
「安保の次は経済で」ということなら大いに結構。臨時国会は、軽減税率やら補正予算やら、経済の課題が山積している。が、やはり心はここにあらず。引き続き「経済で稼いだ政治的資産を、外交、安保に投入する」公算が大である。
明快なレガシーになるが
察するに安倍首相は、対ロ関係をテーマとするつもりではないか。偶然にもプーチン大統領の任期は安倍首相と同じ2018年まで。この間に個人的関係を深め、領土問題で譲歩を得て、平和条約を締結する。こちらは安保法制とは違って、誰にでもわかりやすいレガシーとなりうる。
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