コーポレートガバナンスに魂が入っているかどうか。機関投資家として第一に確認しているのは「現社長がどのような経緯で誕生したか」ということである。
多くの日本企業では、前任の社長が後任を指名する形になっている。しかしこれでは、大きな意思決定に際し前社長への事前説明が必要だったり、前社長の案件には口を出せなかったりする。仮に前社長の失敗案件があっても、延命させて、撤退などの思い切った戦略を取れない。
この点、投資家として取材した会社の中の好例にオムロンがある。オムロンは2011年に社長交代をしたが、独立社外取締役の冨山和彦氏が社長指名諮問委員会の委員長となって、後任社長の人選を行った。人選に当たり、まず、「当時のオムロンの置かれている事業フェーズに適するリーダー像はどういうものか」を、仮説を立てて議論。候補と目される人には、グループ戦略室長を経験させ、取締役会で事業経過を報告させて、質疑応答を基にスキルのみならず、その人の人間性のチェックを行い、独立社外取締役にも候補者の人間像やスキルがわかる形を作っていった。
当時のオムロンが置かれていた状況の分析から、カリスマ的人物よりもチームマネジメントで力を発揮できる人間が適任と判断。最終的に、冨山委員長が山田義仁氏を社長に指名している。
11年に就任した山田社長は、しがらみを断ち切った経営を行っているように見える。それまでは多角化を目指し、主力の工場自動化用制御機器事業以外の事業領域のM&A(企業の合併・買収)を大きな戦略の1つとしていた。
だが、山田新体制では新興国需要を取り込むため本業に回帰。工場自動化用の制御機器事業の“最強化”(世界最強にするという意味)を行っている。投資家からするとありがたい中期のROIC(投下資本利益率)・ROE(自己資本利益率)目標の開示も開始した。
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