2020年東京五輪の「エンブレム問題」が世間をにぎわしている。有名デザイナーによる東京五輪のエンブレムが、ベルギーのデザイナーのものと類似しているとされた問題である。世界に向けて発信されたデザインの類似性がたちどころに指摘されたところに、情報化社会の特徴が表れている。かく言うわれわれ大学教員の活動も、ネット環境から大きな影響を受けてきた。
インターネットの発達は、ほとんどの教員にとって福音にほかならない。研究者としての教員の仕事は、これまでの研究蓄積の上に自分独自の研究業績を積み上げることだが、ネット環境の整備によって、自分の関心と重なり合う研究を瞬時に検索できるようになった。図書館で専門誌を一冊一冊確認していた時代からすれば隔世の感がある。
こうした環境の中で、研究者たちは、時間がかかる割に生産性が高くない資料収集活動に悩まされることなく、自らの実験やデータ解析に集中できるようになった。職場や国の枠を超えた共同研究も、メールなどを使って活発に行われている。このように、ネット環境の整備は大学教員に大きな利益をもたらしてきた。
その一方で、深刻化しているのが論文などの「盗用」問題だ。「盗用」とは、他者のアイデア、研究結果、論文などを適切な表示なく流用することをいう。ネット時代における典型的な「盗用」は、いわゆる「コピペ」(コピー・アンド・ペーストの略)で、ネット上の他者の論文などから文章などをそのまま自分の論文にコピーする行為である。
エッセーや卒業論文の提出を求められた際に、「コピペ」しようとする学部学生は少なくない。学部学生だけでなく、STAP細胞騒動のときに明らかになったように、「コピペ」は一部の大学院生にも広がっている。さすがに教員であからさまな「コピペ」が問題になった例は少ないと思うが、別の形での盗用は時々発覚している。
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