日本の仏教や仏教団体についてわかりやすい解説で人気のある宗教学者の島田裕巳氏に、伝統仏教への注文を聞いた。
──5年前に出された『葬式は、要らない』は広く読まれました。どんな反響がありましたか。
読者の反応をさほど予期していたわけではないが、多くの人が葬式はいらないと思っているということが確認できた。葬儀は必要ないのではと漠然と感じていることに、解を与えたということだろう。出版直後は仏教団体からシンポジウムに招かれたり、僧侶と対談があったりと反響もあった。呼ばれていって、吊るし上げられたこともあった(笑)。
当時は、お坊さんが集まったら僕の悪口を言っていたという状況ですね。
でも社会的に反響があったのは、信仰がないのに形式的に僧侶を呼んで葬儀をすることへの違和感が強かったことに尽きると思う。昨年刊行した『0(ゼロ)葬』では、葬儀だけでなく墓も火葬された遺骨も不要でよいと提唱したが、今回は仏教界から反応がない。対話してもムダだと思われているのかもしれない。
──仏教が「葬式仏教」と揶揄されるようになって久しいです。
葬送において仏教は役割を終えたのかもしれない。象徴的なのが、お布施の額に応じて決まる戒名。都市部では葬式でのお布施が寺の有力な収入源になっている。仏教は民衆に平等を説いてきたのに、矛盾している。あらゆる宗教行事が単なる経済行為になってしまった。都市部では、通夜や告別式をせず病院から火葬場に直行する「直葬」が徐々に広がりつつあるが、これはもはや都市住民が仏教を必要としなくなっているということ。直葬は菩提寺を持たない人の間での広がりだから、檀家がたくさんある寺はまだピンときてない様子だ。しかし、こうした流れは止まらないだろう。
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