増田寛也氏を中心とする日本創成会議は、今後、東京圏で急速に高齢化が進むことにより、介護施設の不足などの大問題が発生することを示し、その解決策として高齢者の地方移住を提案している。
政府も、2014年12月に発表した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中で、地方移住を推進するための政策を実行していくとしている。
高齢者の地方移住を進めるのには私も大賛成である。75歳未満の前期高齢者はある程度の資産もあり、社会参加意欲も高いから、消費主体、地域活動主体として地域の活性化に貢献するだろう。75歳以上の後期高齢者になると、医療や介護など、地域にとっての負担が増えるが、うまく処理すれば地域の雇用機会を創出することになるだろう。
今後、国からも地域からも高齢者の移住を促進するための政策が次々に打ち出されることになるだろう。しかし、その政策が高齢者の移住という分野にとどまっていたのでは、その効果は限定的にならざるをえない。
このとき考えなければならないのが「補完性」の考え方だ。補完性は、ある分野がほかの分野と相互に影響し合いながら、相互依存的に存在している状態を指す。人々の移住可能性は、多くの関連分野と補完的な関係を持っており、その関連する分野の姿をそのままにしておいて移住だけ促進しようとしても、おそらくうまくいかない。
たとえば、次のようなことが考えられる。第一は、雇用の固定性だ。日本型雇用慣行の下では、多くの人が最初に入った企業で働き続けることが多く、労働力の流動性に乏しい。すると、仮に地方に魅力的な仕事があっても、柔軟に勤務先を替えることが難しくなり、結果的に移住を阻害する。
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