「樫尾家うんぬんじゃない。実力を見てできると思った」。5月12日に行われたカシオ計算機の記者会見で、樫尾和雄社長(86)は後継者に自身の長男である和宏専務執行役員(49)を選んだ理由を、こう説明した。社長交代は実に27年ぶりとなる。
和雄氏は以前から「後継者は実力で選ぶ」と公言。和宏氏に社長就任の打診をしたのも今年の3月だ。が、和宏氏の経歴を見ると、入社以来、将来のトップ候補として育てられてきたことがうかがえる。
1991年に慶応義塾大学を卒業してカシオに入社した和宏氏は、翌年にはグループ企業であるマス社の副社長に就任。入社2年目にして企業経営に携わることになる。以後、2001年に広告宣伝子会社の社長、05年に米国販社の副社長を歴任。07年には経営戦略担当として、カシオ本社の執行役員に就任した。
そこで手腕を振るったのが、携帯電話と液晶事業の整理だ。特に携帯電話は当時、カシオ全体の売上高の3割超を占める主力事業だったが、00年代後半から競争が激化。10年3月期に209億円の最終赤字に沈む要因となった。
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