買収額は3300億円と過去最高となった。
キヤノンは2月10日、スウェーデンのアクシス社に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、連結子会社とすることを発表した。キヤノンにとっては、2013年3月に買収が完了したプリンタメーカーの蘭オセ社の1000億円を抜いて、過去最高金額の案件になる。
今回の目的は、中長期的な成長ドライバーの獲得であり、これは積年の課題だ。中核事業である複写機とデジタルカメラは共に成熟産業で、キヤノンの14年12月期決算も売上高は横ばいだった。
ネットワークカメラ事業をキヤノンは非常に魅力的だととらえている。同市場が監視用を中心に急速に成長しているからだ。テクノ・システム・リサーチによれば、14年暦年で約39億ドルと前年比35%成長。今後も、二ケタ成長を続け、18年には88億ドルまで拡大する見通しだ。市場が急拡大しているうえ、キヤノンが長年培ってきた光学技術を生かすこともできる。ただ一方で、ソフトウエアと販路の整備が遅れていた。
傘下に入れるアクシスは1996年にネットワークカメラを世界で初めて販売した会社で、独自の画像処理技術を武器に世界シェア21%を占める業界トップ。14年12月期の売上高は前期比16%増の54億スウェーデンクローネ(約770億円)、営業利益率13%という優良企業だ。技術、販路を持ち、好財務と、キヤノンの求める条件をすべて満たしている。さらに、自社工場を持たないファブレス経営のため、キヤノンの持つ生産設備を無駄なく活用できる。
拡大する
躍進する中国勢
ただし、買収価格は破格となった。
買い付け価格はアクシスの2月9日終値に対して50%のプレミアムが乗っており、これは14年のEBITDA(償却前営業利益)の約30倍に当たる。のれんの総額は3000億円程度とみられる。キヤノンは米国会計基準を採用しているので、のれんの減価償却は発生せず、減損テストのみとなる。これまでは8400億円もの現預金を貯め込んでおり、むしろ資金の有効活用が課題だった。それでも、通常の買収と比べ、割高であるのは間違いない。
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